執筆:七賀 ※八束さん執筆Free Cityを読了の上お楽しみください
ささやかな復讐はささいな思い出。然れどふとした時に蘇り、暗然とした心を照らしてくれる。 今日の夕飯は……そうだ、アジフライを作ってもらおうか。...
矢千には不思議な趣味がある。 以前、休日は遊びに行ったりしないの? と訊くと、眉ひとつ動かさず「すいどう」と答えた。 髙科の頭の中では「水道」と一発変換された。水道。水道……水道……局。 しばらく呆然としてると、彼は白い目を向けながら「トンネル」と付け足した。...
HP1周年記念リクによるSS。まさかまたこの二人を書ける日がくるとは思いませんでした。 ありがとうございます! 本編→【明かさないこと】
「あ、サービスエリアあるね。寄ろうか」 「え? あ、はい」 司がそう言うので、左手に見えた小さなサービスエリアの駐車場へ入った。時間帯のせいもあるが、停まっている車は疎らでどこでも停め放題である。...
「ああいう看板見るとゾっとするんですよ」 「どれどれ?」 両側に見えるは山、山、ひたすら山。ドライビングコースというわけではないが、走りやすい闇に包まれた道路。トンネルを抜けた先の分かれ道で一時停止した由貴は、無言で前方の一点を見つめた。...
「で……赤ちゃんプレイがしたいって?」 「えぇ! じゃなくて、うん!」 放課後練習が終わった頃、空は茜色に染まりだす。 特別な用は何もないが、皐月は未早を連れて自分の家へ帰った。幸い母も父も出かけて留守だった。...
本編→【Free City】 罪の家に踏み入った、一人の青年のお話。 本編とは違う視点のSSです。
美しい中心街から少し外れると廃人と浮浪者が溢れかえっている街。どこよりも早く最先端の情報技術を導入してる為利便性はあるが、住みやすさと生きやすさは違うと思った。 自分達は情報に翻弄されている。根も葉もない噂を信じ込んで神格化する。 「そうか。俺のストーカー日記も残りわずかなんですね」 「認めるんだ……」...
子どものような手で引っ掛け、わざとらしく笑う。からかわれたのだと気付いた古宮は呆然としていたが、今度は立ち上がって鳴田の腕を掴んだ。 「行きましょう、ホテル!」 「えっ?」 元気よく告げられたのは異様な誘い。逆転し、藤の方が困惑した声を上げてしまう。...