「交換条件」
[小説/絵]七賀ごふん
【あらすじ】
大学生の津雲幸人は隣家に住む高校生、旭継夢の家庭教師をしている。普段は穏やかで優等生気質の継夢は、夜になると人格が変わる不思議な少年だった。
彼の二面性を周囲に隠しながら、幸人は夜にのみ現れるもうひとつの人格と逢瀬を重ねるようになり…。
継夢は二重人格なのか? 疑念と信念に揺れる青年と、夜しか生きられない少年の三ヶ月の物語。
※BL、R18。シリアス、ファンタジー要素あり、メリーバッドです。苦手な方はご注意ください。
※以下どうでもいいお話。よほど暇でない限り無理せず引き返してください。
この「交換条件」には懐かしい気持ちと、苦い思い出があります笑。
この作品は投稿サイトのBLoveさんで公開させていただいていました。個人的にWebで発表したのは二番目か三番目か…ちょっと定かじゃないんですが←初めてたくさんの方に読んでいただいた作品です。でもその頃は何もかもがひど過ぎて(主に文章)、ストーリーもガバガバだし何でこんな話がたくさん読んでもらえたんだろう、と不思議で仕方ありませんでした。そして大部分は割愛しますが、縁があってある出版社さんに電子書籍にしていただきました。
実はこの作品、電子書籍にしたのは二回目なんです。
ですがその時は諸々の手違い…ほぼ私の確認ミスにより、わずか二ヵ月ほどで配信停止になりました。停止したことにも気付かず結構経っていたみたいです。慌てて出版社の方に連絡を取り、クラウドに残っている記録を全て消していただくようお願いしました。購入しても読めませんからね…。
その時の対応はとても迅速で感謝しております。その節は大変お世話になりました!
しかしこのままこの作品を眠らせていいものか悩みました。初めて書いた長編ですし、今なら昔よりはマシな文章に変えられるんじゃないか、と。今回意を決して推敲し、新たに後日談を書き下ろして、再び公開させていただいた次第です。
結末は決して明るいものではありません。それでも自分が書きたいものを貫きました。今後も同じことができるかどうか分かりませんが、創作の原点でもある作品を公開することができて満足です。
交換条件は現実ではあり得ないお話ですが、現実でもある、奇縁、虫の知らせ、前世の記憶…人伝に聞く不思議なお話に少しでも興味を持っていただけたら、と思いながら書きました。
ちなみに、私は映画でも小説でも感想を伝えるのが尋常じゃなく苦手です。感動しているときほど語彙力は消失しますし、全て「良かった」で終わらせます笑。でも何も完璧な文章を書く必要はないかも、というか、それはもはや書評家や字を書き慣れているプロの仕事です。作品の価値を引き出し、未読の方々に魅力をお伝えすることを、読み手さんが頑張る必要はあんまりない気がします。
すごく良かったけど、何が良かったのか分からない…そういった作品はたくさん存在していると思います。
そして、上手く説明できない、本人にもよく分からない「感動」を届けることができる作品は本当にすごいと思います。
書き手にとっては読み手さんに「良かった」と思ってもらうことが最大の難関で、そしてゴールです。私もいつかそんな、正体不明の「良かった」を届けられる作品を書けるように。これからも、許される限りお話を創っていきたいです。
最後に、この「交換条件」は非常に感想に困るお話です笑。ですが最後まで読んでくださった方の心に、言葉では言い表せないなにかが残りますように。そして興味を持って覗いてくださった方に、心から感謝を込めて。
2020.6.3 七賀