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七話

 

 

ヤッてしまった。

と、最初に言ったのは叔父の方だった。酔いがすっかり醒めたようで、そこはホッとしてる。

「一季、本当にごめん……!!

未だ屍のようにベッドに横たわってる俺に、叔父は両手を合わせて頭を下げた。でも今までは散々俺が誘っていたから、被害者ぶるのも間違ってる。
「だ、大丈夫です。ていうより……俺、叔父さんとまたこういうことがしたい」
「駄目だ。これが最初で最後」
酒癖が悪いことも踏まえ、もう俺とは酒を飲まないと告げた。……そこまで拒否されるとちょっときつい。

「叔父さん、本当のこと言ってくださいよ! 俺の身体じゃ不満ですか? さっきはイイ身体とか何だとか褒めてくれたのに……!
「やめなさい、そういうこと言うのは」
「いやです」

だるいけど起き上がって、叔父をベッドに押し倒した。俺は上にシャツしか羽織ってなくて、下は何も履いてない。このまま彼のジッパーをおろせば中に入れられる状態だ。

「叔父さん、俺がどういう奴か分かったでしょ? ここに入れて欲しくて、ずっと独りで弄ってたんだよ。これからも、きっとそう」

脚を開き、陰茎の裏にある窄まりを見せつけた。

「叔父さんに触ってもらえなきゃ、俺どうかしちゃう」
「だから、はしたないからやめなさい。……って、既に抱いてるから説得力ないか」

叔父は大きなため息をつくと、今度は俺を押し倒してキスしてきた。最初は優しく、だんだんと食らいつくような舌使いに変わる。
剥き出しの下半身にも手を這わされ、思わず仰け反った。
「好き。あなたが欲しい」

大げさなため息が聞こえる。
「困ったな。何でそんな、俺なんかを好きになったんだろうね。……お前」
心底不思議そうに呟き、彼は俺の後孔を舐めとった。汚い場所なのに躊躇いを見せない。綺麗だと言って執拗に解してくる。

「皆には内緒だよ?

子どものような笑みに何度も頷き、脚を限界まで開いた。また彼を欲してヒクついてる。
何で好きになったとか、そんなのは分からない。
でもわざわざ言葉にしなくても良いはずだ。
叔父さんが本当に優しい人だってことは黙っていても分かる。言葉を交わさなくても、隣に座ってるだけで安心できる……。子どもの頃から分かっていたことだ。
そんな彼を、今度は俺が幸せにしたい。
この気持ちが恋愛に分類されるのか、なんて考えるのはもうウンザリだ。
「ん……う」
またシーツに沈んで、今度は彼の手から与えられる快感に喘いだ。触られる部分すべてが気持ちいい。全身が性感帯になったように、脳天からつま先まで電流が走る。

このまま死んでもいい……。そんな馬鹿げたことまで思うようになった。

「お嫁さん、って良い響きだよね」

叔父がぼそっと呟く。唐突だったこともあるし、正直その意味がよく分からなくて、聞こえないフリをしてしまった。何でこのタイミングでそんな事を言うのか。このときの俺には何ひとつ理解できなかったから。


 

 

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